自分に素直に生きる

学生時代、バイト先のパン屋さんで一緒に働いていた方でとても魅力的な方がいました。

 

歳は一回り上で、いつもふんわりホワホワした雰囲気を持っている方。

大学の近くのアパートに住んでらっしゃったので、

おうちにもよく遊びに行かせてもらっていました。

 

自分の心の趣く向くままに、ひらりひらりと生きている方。

 

パンを作る資格や美容師の資格なども持っていて、

パン職人をしたり、美容師をしていたこともあったと聞きました。

 

 

その方は、小学生の頃はみんなと一緒のことをするのがとても嫌で、

同じランドセルを背負って、同じ制服を着る、ということが理解できなかったそうです。

今も、人と同じようにすることは苦手、だから会社員は無理、

とおっしゃっていました。

 

お仕事はとても丁寧で速いし、人柄もとてもいい方なので、

行く先々で正社員にならないか、とお誘いがあるそうですが、

縛られることが嫌なのでずっと断ってきたそうです。

 

金銭的には不安定な部分もあるけど、いつも誰かが助けてくれるんだよね、

とニコニコしながら話してくれました。

 

 

当時学生だった私は、

「こんな風に自分に素直に生きられたら素敵だな」

と思っていました。

 

しかし、私にはそんな度胸もなく、

みんなと同じように就職活動をし、みんなと同じように就職しました。

 

それから月日は過ぎ、10年近くが経ちました。

結婚して子供が生まれ、一応安定した収入もあります。

世間一般的に見たら、とても恵まれていると思います。

 

でも、「なんか違う」と思いながら騙し騙し生きているような感覚。

そんな時、この方をよく思い出します。

 

「自分に素直に生きる」

 

これって簡単なようで、勇気がいることだよなぁと思います。

家族がいるなら尚更。

 

今は大学の近くのカフェや雑貨屋さんで働いていらっしゃると聞きました。

 

 また会って話したいなぁ、と思う今日この頃です。